タイムマシンで1年後を観ておいで

 ちょうど1年前くらいは悩み続けていた気がする。駆動系の作業と大学の授業の忙しさはわざわざ同時進行で訪れる。あと2ヶ月ずれてくれればいいものを……憎たらしいものである。
 あまりに忙しいとき、ゆとりをなくしているときはまともな思考ができない。唯一まともな思考をしようとするならば、考えるべきことを最優先にして、日常についての思考を遮断するくらいしか自分に方法はなかった。
 そんな生活が2ヶ月、3ヶ月と続けば鬱っぽくなるだろう。もちろん自分もなった。現実から逃げ出したい衝動に駆られる。勉強なんてできたもんではないし、学費だって全然足りない。むしろお金は減っていく一方だし、睡眠時間も平均3時間。どう考えたってそんな状況に置かれたら『こんなことのために生きてるんじゃないんだけどな』などと思うほうが普通なのだろう。本業(一応学問のことだけど)があるのにそれができなくなるのはどう考えてもおかしい。

 では、今になって振り返ってみるとどうか?辛かった時期や内容は思い出せるが、辛かったかと言われると、辛く無かったように思える。むしろ楽しかったような気さえするし、今になって単位とかの後始末をやるハメになってはいるけれど、それも正直苦ではない。当時悩んでいたことも、終わってみればそんなもんである。ばかばかしい悩みだったもんだな、と。

 じゃあ現役の人に、『そんな悩みばかばかしいわ』と言えるかというと、そんなことはない。渦中の人からしたら『終わってみればたいしたことないよ』なんていわれても、それこそばかばかしい考えだろう。『たいしたことないわけないじゃないか、バカじゃないのこの人?』といった具合だろう。

 大抵の人が終わってみればそう思っているようだから、間違ってはいないのだろう。なのに渦中で解決している人なんてみたことない。


 ……世の中うまくいかないな。