院試半ばの反省会

早稲田院試も合格で無事終わり、残すは本命の東大情報理工・学際情報学府の2つとなった。まだまだやるべきことは山積みだが、来年以降、自分と似たような状況に立たされる人もいると思うので、記憶の新しいうちに軽くまとめておこうと思う。ちなみにタイトルはどっかのパクリ



早稲田(総合機械)院試対策
早稲田総合機械の院試は、英語・小論文・専門科目(熱・流体から2問、材力2問、メカトロニクスとコントロールから2問のうち2つ選択)とほぼ決まっている。英語・小論文は適当でもなんとかなるので、ここでは専門で自分が選んだ熱と材力について述べる。

  • 熱力

必ず可逆サイクルが出る→理想気体の状態変化(体積・圧力・温度・仕事・熱量・エントロピ)が分かればほぼ満点が取れる

とにかく簡単。これを選ばないのはもったいなさすぎる。ただし、今年度は過去7年間必ず初めに与えられる定数としてあった比熱比κが与えられず、かわりに定圧比熱
     Cp=(TA+B)  [T:絶対温度,A・B:定数]
が与えられ,平均比熱の概念が身に付いていない人は1問も解けないような内容だった。したがって、今年度は先生としては作戦が成功して味を占めたと思うので、来年も引き続きこのような嫌がらせ(?)をしてくる可能性がある。そのため単純にサイクルだけを丸暗記するのではなく、基礎の基礎もキチンとおさえておくべき。そんなの基本だろといわれればそれまでだけど、案外院試の勉強期間がなく、手一杯になると細かく気を配る余裕がなくなるので。


  • 材力

はりの曲げ問題の易化傾向→2007年度から(総合機械になってから)明らかに易化

材力は

  1. 材料固有の関係(材料の力学的特性や応力・ひずみの関係)を求めるもの
  2. 力学的・幾何学的な関係(力・モーメントの釣り合い、変形の幾何学、ひずみ、変位などの関係)を求めるもの

の2問が出る。昔から材力は簡単だといわれているが、実際は難易度が安定しなかったり、参考書には載っていないような変な問題が出たり、1問目を間違えると全部間違えたりするような問題が出るなど、何気に合否を分ける部分だったと考えられる。しかし、総合機械になってから少なくとも後者の問題を作る先生が総合機械になってから変わったため(面接で先生に聞いたから間違いない)、簡単になった。今年度は昨年度よりは難しかったが、それでも力・モーメントの釣り合い、フックの法則、たわみの基礎式、カスチリアーノの定理あたりができていればほぼ満点確実な内容だった。よって、材力が得意でもない人は、いっそ曲げの問題に絞って勉強してしまっても良いかもしれない。
ただし、1問目を間違えるとなし崩し的に倒れるのは変わらないので、問1・問2あたりは神経質なくらいに見直したほうが良い。


  • 総評

いままでは材力が安定していなかったため、熱力とその他ひとつ(大抵材力か制御だが)という取り方をする人が多かったと考えられるが、材力が簡単になったことにより、ほとんどの人が熱力・材力に絞ってくると考えられる。これはつまり、専門2問のうちどちらかを落とすと
     周りの人ができているのに自分はできていない=おちr
ということになりかねないので、足切りではなく定員と戦うような状況になる研究室(ex.菅野研、上杉研?←当日受験票みたらいっぱいいた、など)では満点近いあたりでの争いが予想される。よって、院試対策としては流体や制御、メカトロなどにも手を出そうなどとは考えず、熱のサイクル問題と材力に絞って例題を解きまくるのが一番効率がよいのではないだろうか。実際、自分もこの2つに絞って傾向調査をして、授業資料や参考書から必要な部分だけ取り出して演習を解いていたことで、本番も難なく解くことができたし、先生からもかなりの高得点だったというお褒めの言葉も頂いた。早稲田の先生はめんどくさがりだろうし、問題の傾向が大きく変わることは無いと思うのでこのとおりにやればいけると思う(保障はしないよ、笑)。


◎スケジュール管理
こちらは反省点だらけである。以下、4月からの経験。

  • 4月

−上旬
推薦枠が決まるが、きわどく入れず。ここから早稲田以外の行きたい研究室を探す。とりあえずロボット関係と、昔から興味のある宇宙関係に絞って調べ、いくつか候補を決める。
−下旬
募集要項がどんどん発表されていく。ここでトラブル発生。
TOEFLが提出締め切りに間に合わない
ことで、東工大が受けられなくなる。ここで急いでTOEICの申し込みをし、阪大や東北大などぎりぎり提出が間に合うところを受けるためにTOEIC対策を余儀なくされる。さらに

  • 5月

−上旬
第2のトラブル。
試験日程が被った
ことで、東大・阪大・東北大から1つを選ばなければならないことに。悩みに悩むが、とりあえずTOEIC対策は続ける。
−中旬
東大の説明会や5月祭で情報収集。このあたりで@hrkiに学際情報学府の存在を聞く。勉強よりプレゼンとかのほうが得意なのでかなり有力候補に。
−下旬
どこに研究室訪問するかを考える。他大学を受ける場合は研究室訪問がほぼ最低条件かのような雰囲気があるので、結構重要。顔知らんやつなんぞ入れてくれないと思うので。

  • 6月

−上旬
結局東大に絞ることに。そのかわり東大はTOEICが使えないのでTOEIC関係がほぼ無駄に……そして研究室訪問のお願いメールの返事が1週間以上こなくてちょっと焦る。
東大を選んだ理由は研究内容が面白かったことはもちろん、情報理工と学際情報学府という2つのチャンスがあることと、金銭的な問題である。奨学金は2年間で200万近くもらえる予定だが、早稲田でそのまま上がると入学金がかからないので190万円ちょい、阪大・東北大は入学金・授業料は足して130万前後だが、一人暮らし代が月5万で計算すると合わせて250万ちょいで、新たにバイトを探したりする必要もある。その点東大は現状のままでしかも奨学金が70万程度残るということで、バイトをしなくとも生活していけるくらい。
−中旬
もう一回研究室訪問のお願いを送ったら、先生が忙しいのと、訪問したい人が多いことで調整が難航しているとのこと。人気があるのは知っていたが、ここまでとは……
また、研究室は6月終わりから休みをもらえることに。この辺の交渉は重要。しかし、その代わりといっては何だが、研究生活が忙しくなり、勉強はあまり進まず。さらに、6月後半に中間発表の日程が早稲田試験の1次・2次の間に入ることがわかる。ここを甘く見ていたことが7月の地獄へとつながる。
−下旬
研究室の休みが始める。とりあえず過去問と研究室やらの先輩の話から、熱力・材力・制御の3つを勉強しようと思い、理工で本を借りる。さらに、研究室の先輩から過去問や過去問の答え(間違ってたのもあったけど)などをもらう。先輩からは基本的に有力な情報ばかりもらえるので、聞ける限り色々聞くのが吉。

  • 7月

−上旬
休みをもらってガッツリ勉強できるかと思いきや、研究室のミーティングとその資料作りやら、東大情報理工の出願書類の作成やらで予想外に時間がなくなる。ここで早稲田対策としてやろうと思っていた制御を切り、熱と材力に絞ることに決める。ここの判断は正解だったと思う。
また、東大の研究室見学で改めて行きたい研究室の人気っぷりを知る。でも、外部から受ける人で友達ができ、色々と情報交換ができるようになったのは吉。
−中旬
早稲田対策と東大学際情報学府の願書資料を平行して作る。ここからが地獄の始まり。学際情報学府は願書に必要な書類が激しく多い。研究計画書(A4で2枚)、自己推薦書、先生の推薦書など、結構重く、しかも合否に重要(だと思われる)。でもこのあたりの日程は
19日 早稲田1次
20日〜23日 中間発表準備、中間発表
24日 学際情報学府出願締め切り
とてんこ盛り。

−下旬
試験終了から@hrkiの協力を激しく受けつつ、学府の資料作りに専念。
したかったのだが、
そこは中間発表。なかなかシートのOKがもらえず、連日徹夜でシートを作るハメに(まぁこれはうちの上司が……まぁいいや)。
結局20日〜23日は一睡もできず、WASA現役時代の記録(72時間作業後、フライスでペラマウント作り)を超える勢いに。
−24日
中間発表後からそのまま研究計画書作り。@hrkiに見てもらいつつ修正。でも研究計画書と自己推薦書以外のものはまったく手付かずの状態だったので地味に時間をとられる。さらに、中間発表準備期間にやろうと思っていた受験料の振込みや証明写真の撮影などができなかったことで、さらに時間をとられ、半分程度しか完成していない状態で@hrki家に駆け込む(このとき21時頃)。
そこで半ば諦めていた提出資料として使えるポートフォリオを@hrkiが作成してくれていたことを知る。超絶感動。そこでさらに追い込みをかけて研究計画書などなどを完成させ、ポートフォリオなどなど含め全ての資料が完成したのが23時51分。そこからダッシュで郵便局へ駆け込み、23時55分に無事提出、なんとか期限内の消印ゲット。喜びのハイタッチ後、@hrki宅へ戻ってびしょ濡れの@tkfも呼び、@salamann家とビデオチャットしながら夜を明かし、結局寝ずに早稲田の面接を受けるというなめ腐った内容で無事合格。とりあえず、@hrkiの協力がなかったら間に合わなかったか、間に合ったとしてもグダグダな資料だった。@hrkiに感謝。
中間発表中と24日の朝にとった仮眠合計3時間を除けば、110時間以上活動してたなぁ。人間がんばればなんとかなるもんです。

そして現在、東大試験勉強に励む日々。



◎反省点

院推薦の発表が遅いのと、募集要項の発表タイミングが遅いのもあり、他大を受けようと思った頃にはもうTOEICTOEFLが間に合わない、ということがある。そのため、推薦がもらえなさそうな人や、少しでも他大を受けようと考えている人は必ず1〜3月の間にTOEICTOEFLも受けておくことをオススメする。ここで受けておかないと自分のように出願できないこともあるし、何より高得点を取れる可能性が減るため。

  • 受ける大学の過去問分析を早めにやる

大学によって試験の傾向はほとんど決まっている。特に早稲田は傾向さえ分かっていればピンポイントで勉強するだけで高得点が取れる。つまり、長々まんべんなく勉強している人より、重点的にちょこっと勉強している人のほうが合格してしまうということが十分にあり得る。そのため、短い時間で合格するには、過去問解析が重要であると考えられる。

  • 出願手続きはお早めに

ぎりぎりまで引っ張ってはいけないのは、お金の振込み。出願は消印有効でも銀行は15時までなので、書類ができてから振り込もうと思ったら終わってた!死んだ!なんてなっても後の祭り。また、研究室の用事などで予定どおりには行かないものだと思って、とにかく早め早めから書類を作っておくのは重要。今回自分は何度もいうように@hrkiの協力がなかったら無理だった。とにかく前もって準備を。

  • 受験校はがんばって3つ

院試は大学入試と異なり、受ける場所によって出題内容にかなり差がある。そのため、まともな対策をして受けられるのは3つ程度だと思われる。正直2つでも結構しんどい。自分は早稲田と東大2つだが、東大は実質学際情報学府に絞り、情報理工は学府の延長でできるプログラミングと数学をメインでやって、その他はひどい点数を取らない程度にしかやらないつもりだ。

  • 他大の内部に知り合いを

何をするにも、内部生のほうが事情には詳しい。今回は先達に@hrkiがいたのであまり苦労はしなかったが、もし東大以外を受けようと思っていたら内部生に仲間を作っておいたと思う。たとえば自分の場合、研究計画書をA4二枚といわれて、何も情報がなかったら普通に2枚程度でさらっと書いたが、実際は論文形式でガッツリ書いているなど、合格者のやり方がどういうものなのかを知るのは重要だし、どのような人が求められているのかという情報も、外部から入るならば印象重視だと思うのでやはり重要である。

  • 外乱はなるべく小さく

正直なところ、研究室のミーティングやら中間発表やらはやってる余裕などなかった。できる限り院試以外のことは手を抜くべきだと思うし、いかに院試以外に時間を使わないようにするかを考える必要がある。院試は院浪などすると1年とお金を無駄にしてしまうように、人生でも重要なことなので、多少あれこれ言われてもその他は気にしないくらいで良いと思った。




とりあえずこんな感じだろうか。ぜひとも来年院試などなどを受ける人にはがんばってもらいたいし、同じようなミスをしないように注意してもらいたい。
さて、あとはがんばって学府合格目指してとりあえず英語とプログラミングと数学の勉強だ。@hrkiの協力を無駄にするわけにはいかない。